S540
小角X線散乱による樹脂フィルムの配向性評価
図1:ラメラ構造の模式図
高分子は、規則正しい結晶領域と乱れた非晶領域が交互に積み重なった長周期ラメラ構造をとっている。その長周期ラメラ構造は、電子密度の高い領域と低い領域から成る2相構造とみなすことができる。X線小角散乱では、その電子密度の疎密に起因するX線の散乱を検出することにより、高分子のラメラなどの高次構造について情報を得ることができる。
ポリプロピレン(PP)フィルムの小角X線回折パターンを、図2に示す。試料の配向状態を反映して、ラメラ長周期散乱が観測されている。円環強度分布を図3に示す。この強度分布を用いて、下式により配向度を算出することができる。
[F:配向度(%)、W:半価幅]
このPPフィルムのラメラの配向度は、72%と算出される。
図2:小角X線回折パターン
図3:円環強度分布