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海外駐在で平熱が上がった話 - SINGAPORE -

No.498/2019.06
建設資材カンパニー 監理部/ 森井 麻美
画:クロイワ カズ

一昨年の10月、シンガポールに赴任する前は、私の平熱は35.7度と、低い方でした。赴任地は赤道直下。猛烈に暑いだろうと予想していたのですが、それほどでもありません。外の気温は高くても突然のスコールなどがあり凌ぎやすく、オフィスの冷房は寒いほどでした。でも、長袖や厚手の服は持参しなかったし、ローカルスタッフたちは典型的な夏衣装だったので、私も頑張って薄手で過ごしました。すると、身体が環境に適応するのでしょうか、冷房にも慣れてきました。体温を測ってみると37.3度。2度近くも平熱が上がっていました。

駐在して1年足らず、昨年8月に出張で日本に一時帰国することになりました。羽田に着いて驚いたのは、日本の夏が強烈に暑いこと。日中は外を歩けないほどでした。おまけに向こうで日焼けしたためか、バッグを引きずりながら歩いていると、東南アジアの人と間違われることが多く、英語で話しかけられることもありました。私が日本語で答えると、「日本語がお上手ですね」と驚かれます。「日本人です」と言うのも角が立つので、「有難うございます」と返しました。

また、東京ではクールビズで冷房の温度を高く設定しているからか、ビルの中でもとても暑く感じました。これも、恐らく私の平熱が高くなったからではないでしょうか。東京への出張が終わりシンガポールに帰ったときは、涼しくてホッとしました。1年ほどの間に、私の身体は外観だけでなく、内部構造もすっかりシンガポール向きに改造されていたのです。

というわけで、駐在期間を終えて昨年12月に帰国したときは夏服に毛が生えたような格好でした。平熱は今も37度前後あります。この先、あの過酷極まりない日本の夏をどのように過ごすか、頭を悩ませています。