MENU

ハロウィンで悪戯してお菓子を貰った話 - USA -

No.503/2019.11
経理部/ 桜井 達哉
画:クロイワ カズ

2016年10月、ニューヨーク(NY)駐在2年目に初めてのハロウィンがやってきました。日本人小学校に入ったばかりの息子が学校の仲間と出かけるといいます。本場のハロウィンを見てみようと、一家総出で実地見聞に行くことになりました。

私たちの家はNY郊外の住宅街、ウェストチェスターにあります。夕方、集合場所に車で出かけました。そこには、それぞれに仮装した子どもたちが7~8人。親は私たちだけです。出向いたのは10軒ほどの小奇麗な家が並ぶ通り。最初のお宅で子どもたちが玄関のチャイムを鳴らします。私たち夫婦は少し離れて見ていました。玄関の扉が開いて、「Trick or Treat(お菓子くれなきゃ、悪戯するぞ)」と、子どもたちが声を合わせて叫ぶと、出てきた方は心得たもの。手にしたたくさんの紙袋を子どもたちに配ります。「サンキュー!」「ハッピーハロウィン!」と挨拶を交わして無事お菓子をゲットしました。こうして、通りの真ん中辺りのお宅に来ました。子どもたちが我先に玄関の階段を登っていく、その時です。

「ガチャーン!」階段に置いてあった植木鉢を誰かが蹴飛ばしたのです。鉢は無残にも真っ二つ。犯人は我が息子です。俯いて、モジモジしています。他の子どもたちは構わず、玄関のチャイムを鳴らします。中から50代と思しき夫婦が顔を出しました。私は前に進み出て、
「申し訳ありません。うちの子が壊しました」と、割れた鉢を指しながら丁重に詫びました。

「気にしないでください。大したものじゃないですから」奥さんが壊れた鉢をチラリとみて、手に持った紙袋を子どもたちに配られました。

先方のご厚意で「悪戯したのにお菓子を貰う結果(Trick and Treat)」になってしまいました。