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中国式乾杯で男を上げた話 - CHINA -

No.386/2010.02
建設資材カンパニー/ 岡田 広次
画:クロイワ カズ

江蘇省の南通(ナントン)の生コン工場に研修を兼ねて派遣されたときのこと。赴任後1週間目、忘れもしない2008年7月9日。私の30歳の誕生日でした。

会社の飲み会があり参加しました。現場勤めの中国人のオジサンたちも大勢来ていました。彼らにとって男の勲章は酒とタバコとカラオケ。その場の勢いで誰が酒豪かを決めることになりました。私は生来それほどお酒を飲まなかったのですが、この時ばかりは仲間入りするための絶好のチャンス。「やったるでー」とばかりにグラスを手にしました。

中国式の乾杯(カンペー)は一気に飲み干して空になったグラスの底を見せなければなりません。50度もある白酎(パイチュウ)の500ccビンが当面のノルマでした。頑張ってそれを空けました。その後、ビールを3本ほど飲んだことは覚えていますが、それから先は記憶の糸がプッツリ切れてしまいました。後で聞いた話では二次会のカラオケでも相当飲んだとのことです。

さすがに翌朝は頭が上がらず、昼前になって出社しました。昼休みに昨日の連中が集まって何やら騒いでいます。どうやら、昨夜の飲み会に話題が集中しているようです。私を見ると、「ナントン・イーブー(宇部)ナンバーワン!」と笑顔で拍手です。

そのことがあって以来、酒の席には必ず声がかかるようになりました。そして、遂に栄えある(?)酒豪四天王の1人として認定されたのです。お陰で1年の派遣期間中350日は飲んでいたように思います。

日本に帰ると、早速、健康診断で、脂肪肝と肝障害の宣告を受けました。以後なるべく飲まないようにしています。あの日のことは、恥ずかしながら、30歳のほろ苦い想い出となりました。