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忍者の登場でバカ受けした話 - U.S.A. -

No.413/2012.05
UBEグループ機能性無機材料事業化推進室/ 松永 格
画:クロイワ カズ

2年前、テネシー州の研究所に留学していた時の話です。知人の勤める託児所でジャパン・デーのイベントをやるので手伝ってほしいと頼まれました。アメリカの子供たちに日本文化を紹介するチャンス。二つ返事で引き受けました。

私の郷里は伊賀。親元に頼んで忍者の装束と折り紙を取り寄せ、準備開始。実は、私は折り紙が大得意。子供の頃、折り紙博士の異名を頂戴したほどです。準備万端整い、当日を迎えました。

会場には20人ほどの子供たちが集まって、何が始まるのだろうと、目を輝かせて舞台に注目しています。そこへ忍者装束で颯爽と登場。
「NINJAだぁ!」。折り紙で作った手裏剣を投げるとワッと歓声が上がり、私が投げるたびに、一斉に手を伸ばして捕ろうとします。次に、日本アニメの紹介。『ANIME』は英語になっているほど子供たちには人気です。「ドラゴンボールだぁ! か・め・は・め・は!」。シナリオ通りに進むと会場はもう大フィーバー。

一通り盛り上げた後、体験教室に入りました。全員に折り紙を配り、お手本を示しながら折鶴を作らせるのです。最初は真剣に真似をして折っていたのですが、途中で1人が「できない!」と叫んだ途端、今度はブーイングの大合唱。仕方なく、20人分の折鶴を1人で折る羽目に。これはシナリオにはなかったのですが、手際よく折っていく折り紙博士の匠(たくみ)の技に息を呑んで見つめる子供たちの好奇に満ちた目。完成した折鶴を手にした嬉しそうな顔、顔、顔。

きっと、この子たちは、家で『ニンジャ』と『ジャパニーズ・マジック』のことを自慢げに両親に話すにちがいありません。満更でもない託児所での一日でした。