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極寒の地で冷房に救われた話 - RUSSIA -

No.414/2012.06
エネルギー・環境ディビジョン/ 糸口 栄一
画:クロイワ カズ

6年前の夏、炭鉱視察のため初めてサハリンに出張しました。商社の事前レクチャーでは、真夏でも20度以下、夏服では寒い、虫が多いので窓を開けてはいけない、寝る時も長袖などと釘を刺されました。ところが、ユージノサハリンスクに着いてみると、異常気象で信じられない猛暑。ホテルに冷房はなく、窓も閉めたまま、おまけに厚手のパジャマ。ウオッカの勢いで何とか眠りました。

翌日は悪路を6時間揺られて最初の炭鉱へ。早速、ウオッカでの歓迎です。夜は閉め切った部屋でウトウト。3日目も同じような強行軍が続きます。

その夜、就寝中に心臓に刺すような痛みが…。狭心症に違いないと、炭鉱医の診察を受けました。医師は症状を聴いてニトログリセリン入りの薬を調合してくれました。その薬で少し楽になったような気がして、4日目、5日目の視察も気合で乗り切りました。が、体調は最悪です。残りの予定をキャンセルして帰国を決心したものの、翌日は日本行きの便がないといいます。目の前は真っ暗、このままサハリンの地で果てるのか。憔悴しきってユージノサハリンスクに戻りました。そこに思いがけない朗報がー。

この町にSOS(国際緊急医療センター)の施設がある!早速訪問して、ドイツ人女医の診察を受けたところ熱中症との診断。先ず水分を摂って、身体を冷やしなさいと言われました。寒冷地なので冷房は殆ど普及していません。漸く、クーラーの効いたカフェを見つけ、そこで丸一日、水を飲みながら本を読んで過ごしました。体調はぐんぐん良くなり、夜にはほぼ回復。

翌日からのウラジオストックはまるで天国です。ウオッカも美味しく、ロシア料理もたらふく頂きました。クーラーが命の恩人です。