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新鮮な肉料理を御馳走になった話 - CHINA -

No.423/2013.03
宇部興産機械(株)/ 西尾 征信
画:クロイワ カズ

自動車向け機械の営業をしています。3年前、重慶にある得意先の工場を訪問しました。

重慶市は北海道ほどの広さがあり、全域の人口は2,900万人、上海や北京を上回ります。確かに、都市部は大都会ですが、少し離れると典型的な農村です。その工場も街の外れにありました。

朝から商談を始め、お昼になりました。工場には食堂はありません。特別ランチを御馳走するからと、車で案内されました。10分ほど田舎道を走り、とある農家に着きました。普通の農家で、レストランの雰囲気はなく、庭先に簡単なテーブルと椅子が置かれていました。腰を下ろして待っていると、奥の方から分銅つきの秤をもった農家のオバサンが現われました。昔、日本でも魚屋さんなどで使っていた竿ばかりです。小脇には生きたニワトリを抱えています。逃げないように両足をヒモで縛ってあります。我々の目の前でニワトリの目方を測りました。どうやら、それで値段を決めるようです。次はウサギ。縛り方がゆるかったのか、秤に載せた途端、逃げ出したのです。農家の奥から数人の男が飛び出してきて、大騒ぎの末捕まえました。

やがて、物置の中からノコギリのような音が・・・。更に待つこと30分。大皿に載ったソテー風の料理が現われました。

「新鮮な肉料理です。どうぞ召し上がれ」

客先のホストが湯気の立つ肉をナイフで切って、私の皿に入れてくれました。フレッシュには違いありません。30分前まで生きていたのですから。

えっ、お味ですか?待ち時間が長く、空腹だったので美味しく頂きました。但し、小骨が多くて、口の中でより分けるのに苦労しましたが—。