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世界遺産の海で魚釣りを楽しみ損ねた話 - VIENTNAM -

No.449/2015.05
石炭ビジネスユニット/ 吉丸 大輔
画:クロイワ カズ

かなり以前、ベトナムに出張した時の話です。私は釣りが趣味で専門は渓流でのフライフィッシング。海外出張にも7段のつなぎ竿をスーツケースに忍ばせて、チャンスがあれば海釣りを楽しみます。

ハイフォンでの仕事が順調に終わり、帰国のフライトは翌日の夜8時。丸1日あります。チャンス到来!ハロン湾でのフィッシングが頭に浮かびました。

ハロン湾はトンキン湾の北西部にあり、ハイフォンからは直線距離にすると60kmほど。大小3,000もの奇岩や島々が浮かび、中国の桂林に似た景観は世界遺産にも登録されています。こんな所での魚釣りは帰国後の自慢話に打ってつけです。

翌朝、ホテルのフロントに聞くと、ハロン湾行きの船は昼の2時半に出るといいます。早めにタクシーで船着き場に行きました。出発まで随分時間があります。小手調べに近くの岸壁から釣り糸を垂れました。海は汚れていて魚も少ないようで、小さなハゼが1匹かかりました。時間が来て大型のボートに乗船。30人ほどの観光客が一緒でした。船は程なく小さな島に着いたのですが、ハロン湾の入り口は島の反対側とのこと。連絡バスでそちらへ。20分ほどで着いたところは熱海に似た海岸でした。そろそろ時間が心配になり、帰りのバスを確かめました。次のバスは30分後で、それが最終便だといいます。何のことはない、乗ってきたバスの戻りです。とても魚釣りの余裕などなく、辺りを少し散策しただけで同じバスに乗り込みました。ホテルに帰着したのが6時半。大慌てで荷物をピックアップ、何とか8時のフライトに間に会いました。

折角のチャンスも、汚れた船着き場でハゼ1匹。私の自慢話も失敗談に変わってしまいました。