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38°C以下では病人不合格という話 - SPAIN -

No.466/2016.10
研究開発本部 研究企画グループ/ 松下 敏之
画:クロイワ カズ

研究のためバレンシア工科大学に派遣されて2年目の春先、妻が風邪を引いたようです。38度近い熱が出て寒気がすると言います。インフルエンザかもしれないと、近くの私立病院に連れて行きました。

本来、スペインの駐在員なら社会保障保険に加入するのが筋ですが、私のビザ資格が「学生」、妻は「帯同者」で社会保障保険に入れず、便宜的に海外旅行保険で滞在中の傷害と医療を担保していました。そのため、私立の病院の診療費も保険でカバーされます。

病院では検温で熱を測り、その後、簡単な問診(英語が通じなくて苦労しましたが)もありましたが、期待していた点滴などの処置はしてくれません。こんなにしんどいのに何故?と尋ねると、どうやら、こちらでは38度以下の熱では治療を要する病気とは見なされないとのこと。実は、事前に市販の鎮痛解熱剤「イブプロフェン」を服用していたため、体温は38度を切っていたのです。

ということは、解熱剤を使っていたのではいつまで経っても相手にされない。そこで、作戦変更—。しばらく解熱剤の服用を止め、熱が38度を超えるまで待って、もう一度病院へ。

病院では、前回のように検温で熱を測り、今度は病人として合格したらしく、ドクターの丁寧な診察、治療があって、皮下注射もしてもらいました。インフルエンザの検査はありませんでしたが、妻は帰宅後久し振りにゆっくり休むことが出来たようです。

この治療が効いたのか、妻の自然治癒力が威力を発揮したのか、1週間ほどで病気は全快。

お陰でその後は大した病気もなく、夫婦ともども快適な2年間のスペイン生活を満喫することができました。