MENU

昔の部下の結婚式に感動した話 - GERMANY -

No.482/2018.02
宇部エクシモ(株)/ 渡邊 史信
画:クロイワ カズ

数えてみると、私は入社以来14年間をドイツとスペインの駐在で過ごしてきました。これは、会社生活の3分の1の年数に当たります。そのサラリーマン人生もそろそろ卒業が近づいてきました。自分が歩いた都市をもう一度、歴訪してみたいと、昨年6月プライベートでスペイン、ドイツ、ベルギーを旅行しました。一種のセンチメンタル・ジャーニーです。

この旅行の最大の目玉はドイツ時代の元部下同士の結婚パーティに出席することです。新郎のF氏と新婦のL嬢は16年もの同居の後、晴れて正式に結婚することになったのです。当時、F氏は米国に転勤になり単身赴任していました。結婚式は二人の馴れ初めの地、デュッセルドルフで行われました。市の役人が、家族、親族、友人の前で二人の結婚を宣誓するといった一味違う厳粛なものでした。が、披露宴は更にもう一味違います。

市の郊外の閑静な田園地帯の一角に、昔の公爵の館を改造したホテルがあります。雰囲気がいいので、そこに4泊しました。披露宴は元公爵邸の広大な庭でのカクテルパーティで始まりました。新郎新婦が参加者に挨拶をした後、一同はレストランに移動、ディナータイムです。日本のようにしかつめらしい挨拶は一切なく、出席者が楽しめるような演出です。プロの歌手やダンサーが舞台に上がり、まるでディナーショー。食事の後は、ダンスや会話で盛り上がりました。そして、最後にサプライズが—。

時計が11時を指したのを合図に一同は再び庭園に出るよう案内されます。すかさず、打ち上げ花火が大きな音とともに夜空に大輪の花を咲かせます。一斉に歓声が上がりました。次々に上がる花火に照らされて、F氏の顔には涙が…。私も思わず目頭が熱くなりました。