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タイ料理は「甘い?」という話 - THAILAND -

No.491/2018.11
ナイロン営業部/ 草野 聡
画:クロイワ カズ

一般にタイ料理は辛いといわれますが、その裏では甘みと酸味がとても重要な役割をしています。私はタイ料理の味の四元素は、辛い(唐辛子)、甘い(砂糖)、酸っぱい(酢)それに補助的役割として塩っぱい(魚醤)だと悟りました。この中で「甘い」の話をしましょう。

会社のオフィスでも、毎日3時になるとオヤツが出ます。女性従業員の誰かが持参した自家製ケーキや焼きバナナ。私のデスクにも必ず配られます。頂戴すると、翌日にもまた出る。断ると悲しそうな顔をされる。だから食べる。こうして、徐々に私のお皿のオヤツが増量されていくのです。

砂糖の歴史はシャム時代に遡ります。砂糖歴史年表にも3世紀の終りにシャム国王から中国・普の武帝にサトウキビが献納されたとの記録があります。中世に入り、アユタヤ王朝では庶民の食事とは異なる「宮廷料理」が確立されました。宮廷料理のベースは甘い味付け。甘くて可愛い宮廷菓子も海外との交流を基に変化を遂げます。日本の白玉団子にヒントを得たとされる、タイ風お汁粉の「カノムブアロイ」やオランダから入ってきた、錦糸卵のような「フォイトーン」などが有名です。

砂糖は菓子類だけに使われるわけではありません。例えば、食事のときに出されるスイカジュース。日本からの来訪者は「タイのスイカは甘い」と感激されますが、あの甘さは砂糖かシロップそのものです。また、変わったところでは、朝食に食べるお粥や昼食にお手軽のラーメンなどにも砂糖をしっかり入れるのです。彼らに言わせると、コクが出るとか。

足掛け6年の駐在でタイ料理の造詣は深まりましたが、同時に肥満体質もすっかり定着してしまい、こちらは妻のブーイングを招いています。